気象庁は2025年5月に、2017年8月から続いていた過去最長の黒潮大蛇行が終息する兆しがあると発表しました。この大蛇行は、紀伊半島から東海沖で黒潮が日本列島から大きく離れて流れる現象で、船舶の運航や漁業、沿岸の潮位に大きな影響を与えます。
高知県水産試験場が黒潮大蛇行の漁業への影響を調査したところ、大蛇行発生後(2018〜2024年)と発生前(2010〜2016年)の年間平均漁獲量を比較すると、以下のような変化が見られました。
一方で、漁獲量が減少した魚種もあります。
これらの減少要因として、黒潮が沿岸から離れたことによる水温低下や魚の回遊ルートの変化、栄養豊富な深層水が流れなくなったことによる漁場の悪化、海流が弱まったことによるエサ生物の飽食状態などが挙げられています。
黒潮大蛇行の終息が漁業に与える影響について、高知県水産試験場は以下の見解を示しています。
ただし、これらの予測は過去のデータに基づいた「結果論」であり、大蛇行が終息してもすぐに元の海の状況に戻るわけではないため、引き続き調査が必要だと高知県水産試験場は述べています。気象庁は、大蛇行が見られない状態が3ヶ月以上続けば終息と判断する方針で、8月ごろに判断が下される見込みです。