海中の展望エリアに“穴”が開いて漏水し休館していた、高知県土佐清水市の「足摺海底館」が、補修を終え8月から営業が再開されることになりました。“穴”が開いた原因は“ウニ”でした。
海中展望台「足摺海底館」は、1972年の開館から、竜串観光のシンボルとして50年以上親しまれてきました。建物に入ってらせん状の階段を降りると、水深7mの海中に設置された展望エリアがあり、その小窓から、海中のサンゴや魚が泳ぐ様子を見ることができる展望施設です。
運営する高知県観光開発公社によりますと、6月26日の朝、職員が「海中展望エリア」の床全体が4cmほど浸水しているのを発見しました。「足摺海底館」はメンテナンスのため、その日から休館としました。
そして、佐賀県の「玄海海中展望塔」のメンテナンスを行う業者「カナデビアエンジニアリング」に依頼して、海の中から調査したところ、「海中展望エリア」の窓付近の壁に穴が開いていたことがわかり、当初は内側から止水処理をして漏水を止めていました。
その後、メンテナンス業者がさらに詳しい調査を行ったところ、海中展望エリアの外側を覆っている強化プラスチック(FRP)と、内側のモルタルが、“ウニ”によって浸食されていたことがわかりました。そのさらに内側にあった鋼板を海水が長時間にわたって腐食した結果、壁に直径5mmほどの穴が開いていたということです。
貫通した穴は1か所だけでしたが、同じようにウニが侵食した穴は大小あわせて50か所以上見つかっていて、その中からはウニが確認されたということです。このためメンテナンス業者は、海中=外壁の穴を特殊な充填剤で埋め、鋼板の穴には内部から金属で溶接をして、それぞれ補修を行ったということです。
そして高知県観光開発公社は「当面の営業に関わる安全性が確保された」として、8月8日から通常営業を再開する方針を示しました。
今回、調査やメンテナンスを担当した「カナデビアエンジニアリング」の松岡孝憲さんは、「同じような海中展望台をメンテナンスしてきた中で、これまで窓ガラスの隙間や配管からの漏水はあったが、『ウニの浸食』による漏水は初めてで、海中展望台の壁に穴が開いたのも初めてだ」と話しています。
1972年に開館した「足摺海底館」では、これまで雨漏りの修繕や塗装の塗り直しなどは行われてきましたが、抜本的なメンテナンスはされておらず、海水の漏水は今回が初めてでした。高知県観光開発公社は「再開の見通しが立って一安心していて、今後は中長期的な目線での修繕計画などを検討していきたい」としています。